トランプ大統領、ケネディ・センター名誉賞選考に「98%関与」:「woke」候補を公に除外

ドナルド・トランプ米大統領は8月13日、首都ワシントンの総合文化施設「ケネディ・センター」を訪れ、米国の芸術と文化に貢献した関係者に贈られる同センター名誉賞の受賞者を発表しました。大統領は選考プロセスへの自身の深い関与を強調し、「98%関与したと言える。全て私を通過した」と明言。その上で、リベラル派の候補者への授与は承認しなかったことを明らかにしました。

「woke」概念とトランプ氏の批判的視点

トランプ大統領は、性的少数者の権利拡大などに熱心な「意識高い系」を指し、保守派が侮蔑的に使う「woke(ウオーク)」に該当する候補者が最終リストに「数人いた」と説明しました。さらに、「アカデミー賞もかなりウオークだ。どれだけトランプが嫌いか話しているだけだから、誰も見なくなった」と持論を展開し、文化・芸術分野における「woke」な思想への強い批判を示しました。

新たな受賞者と式典への影響

第48回となる今回のケネディ・センター名誉賞には、トランプ氏の熱心な支持者として知られる俳優のシルベスター・スタローン氏ら5組が選出されました。米紙ワシントン・ポストの報道によれば、俳優のトム・クルーズ氏も授与を打診されたものの、「スケジュールの都合」を理由に辞退したとされています。トランプ大統領は、12月に開催される式典において、自ら司会を務める意向も表明しており、例年とは異なる異例の展開が予想されます。

ワシントンのケネディ・センターで記者団の質問に応じるトランプ大統領、名誉賞選考への関与について語る。ワシントンのケネディ・センターで記者団の質問に応じるトランプ大統領、名誉賞選考への関与について語る。

ケネディ・センターの「変革」と過去の経緯

トランプ大統領は今年2月にケネディ・センターの理事長に就任し、理事会を自身の側近で固めるなど、これまで超党派の色彩が強かった組織体制を大きく変革しました。大統領は「ケネディ・センターを舞台芸術の最高峰として復活させる」と主張しており、今回の選考結果はその方針の一環と見られています。同賞の式典を巡っては、2017年に白人至上主義者らの衝突に関するトランプ氏の発言に抗議し、一部の受賞者が式典欠席を表明したことがありました。これを受け、トランプ氏自身も式典への参加を取りやめるなど、過去にも政治的緊張が影響を与えています。

まとめ

今回のケネディ・センター名誉賞の選考を巡るトランプ大統領の発言と行動は、米国の政治が文化・芸術分野に深く介入している現状を浮き彫りにしています。「woke」の概念を巡る保守派とリベラル派の対立が、著名な文化賞の選考プロセスにまで影響を及ぼし、その超党派性が揺らいでいることが示唆されます。大統領による理事会の刷新や、スタローン氏の選出、クルーズ氏の辞退、そして大統領自らの司会意向表明など、今後のケネディ・センターの運営と式典の動向に注目が集まります。