原発“優等生”関電への不信、再稼働停滞に拍車も





関西電力本店=14日午後、大阪市北区(須谷友郁撮影)

 関西電力と原子力発電所立地との不健全な関係が14日、第三者委員会の報告で露呈した。関電は、東日本大震災発生後、原発7基が原子力規制委員会の安全審査をクリアし、うち4基が再稼働を果たすなど、「優等生」として原発の再稼働を牽引(けんいん)してきた。だが、関電による今回の不祥事は、地域住民との関係性を重視して推進してきた日本の原発全体への信用に悪影響を与えかねない。

 電力業界は、収益改善と電気料金の引き下げには、原発が必要との立場だ。そのため、原発事故を起こした東京電力に代え、関電を先頭に立たせて原発再稼働を進めてきた。だが、関電自らが引き起こした問題で、たち行かなくなった。

 そうした中、九州電力の池辺和弘社長が14日、業界団体の電気事業連合会の会長に就任した。4基を再稼働させた九電の経験を生かすための抜擢(ばってき)で、東電、関電、中部電力以外からの起用は初。ただ、国との交渉力など手腕は未知数だ。

 東日本大震災後、電力各社は全国で、5原発9基の再稼働にこぎ着けた。それでも、10月下旬には、関電の大飯3号機、九電の玄海4号機の2基しか稼働しない事態となる。

 九電は、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を16日に停止する。テロ対策で設置を義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成が期限の17日に間に合わないためで、特重施設の完成遅れによる原発停止は全国初だ。

 他の原発でも特重施設の工事が遅れており、川内2号機が5月20日、関電高浜原発3号機(福井県高浜町)は8月2日、高浜4号機も10月7日にそれぞれ停止予定だ。

 原発1基が稼働しなければ、代替する石炭など火力発電の燃料調達代で、「1日およそ1億円」の損失ともいわれる。

 関電の不祥事で原発への不信の目が強まれば、「安定電源」と位置づけられている原発の再稼働停止に拍車がかかりかねない。

 「(金品受領問題を)関電単体の問題として片づけたいが、そうなる保証はない。原子力は終わりかもしれない」

 ある電力業界関係者は、関電の金品受領問題の深刻さをこう指摘する。



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