【ワシントン=住井亨介】先進7カ国(G7)首脳による新型コロナウイルスをめぐる緊急テレビ電話会議を受けた声明で、世界経済への影響を回避する方策が前面に打ち出されたのは、11月の大統領選に向けて経済悪化を懸念するトランプ米大統領の意向が強く反映されたものといえる。
「非常に生産的な会議だった」。議長役を務めたトランプ氏は、16日のホワイトハウスでの記者会見でこう自賛した。
トランプ氏は具体的な中身には言及しなかったが、共同声明には財務相間などで緊密なやりとりをしていくことが盛り込まれた。
トランプ氏は11月の大統領選に向けて好調に推移してきた経済運営を最大の実績としている。だが、コロナウイルスの感染拡大に伴って経済が大きく打撃を受ける中、米国のみでの経済対策には限界も見えている。
トランプ氏は13日に国家非常事態を宣言し、連邦予算500億ドル(約5兆3千億円)を使って州政府や自治体の疫病対策を支援することを明らかするなど経済対策を相次いで打ち出しているが、金融市場の動揺は収まる気配がない。
また、「民主社会主義者」を自称する民主党急進左派、サンダース上院議員を念頭に、トランプ氏は今回の大統領選を「資本主義と社会主義との戦い」だと位置づけてきた。
このまま経済が好調さを失えば、戦いの前提が崩れることになり、トランプ氏の選挙戦略にも大きな影響を与えることになりかねない。