世界で入国・外出制限が拡大 「経済は戦時中のようだ」危機感も






 新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、事態が深刻化している欧州や米国など世界各地で入国や人の移動、外出を制限する動きが一層強まっている。世界保健機関(WHO)が入国制限の乱用に慎重な姿勢を示す中、経済へのマイナス影響を緩和する対応も求められている。(パリ 三井美奈、ロンドン 板東和正、ワシントン 住井亨介)

 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は16日、新型コロナの感染拡大を阻止するため、EUへの第3国からの渡航を30日間、原則禁止する方針を発表した。域内感染者が5万人を超える中、「EU封鎖」という前例のない措置となる。17日、EUはテレビ電話による首脳会議を開き、正式決定する見込み。

 フォンデアライエン氏は16日、域内の長期滞在者、外交官、医療関係者などは対象から除外されるとし、食料品や医療品の輸送の円滑な流通を確保すべきだと訴えた。EUは、シェンゲン協定が定める域内の「移動の自由」を維持しているが、ドイツやデンマークはすでに、独自に国境封鎖に踏み切っている。

 フランスのマクロン大統領は16日、17日正午から少なくとも15日間、全国で外出制限を行うと発表した。カスタネール内相は10万人の警察官を動員し、違反者に最大135ユーロ(約1万6千円)の罰金を科して、取り締まる方針を示した。

 外出を認めるのは、食料品など生活必需品の購入、病院への通院、在宅勤務ができない仕事を行う場合などに限定。家族や友達との散歩や集まりも禁止した。

 一方、16日のEUユーロ圏財務相会合は、2020年に国内総生産(GDP)の1%に相当する財政措置を講じていくことで合意。センテーノ議長は、「われわれの経済は戦時中のようになりつつある」と危機感をあらわにした。

 トランプ米大統領は16日、ホワイトハウスで記者会見し、10人を超える集会や旅行、レストラン、バーでの外食を控えるよう呼びかけた。国民向けに15日間の指針として公表したもので強制力はない。高齢者や体調がすぐれない人は自宅に待機するよう要請した。



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