今夏に開催予定だった東京五輪・パラリンピックが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、来年夏まで延期された。与党からは、安倍晋三首相が日本経済に深刻な影響をもたらす「中止」を回避したことに評価が上がった。野党にも肯定的な見方が広がる一方、政府が延期に伴う悪影響を最小限に抑えるよう求める声が相次いだ。
今回、首相が主導して1年の延期を決めたことについて、自民党三役の1人は「死にものぐるいで努力した結果だ。うかうかしていたら中止になっていた」と評価した。
開催都市契約では、大会が2020年中に開催されない場合にIOCが大会を中止できると定めている。中止となれば、経済への悪影響は延期とは比べものにならないほど広がっていただけに、党三役は「延期までよく持っていった」と振り返った。
自民党の中谷元・元防衛相は「これを機会に、暑さの問題なども考え、選手や開催地が運営しやすい五輪となってほしい」と注文を付けた。
野党も評価する声が相次いだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は「選手の命と健康を最優先に考える上で妥当な判断だ」と歓迎した。同時に「経済的なマイナスもあるので、十分な対策を講じる必要がある」と訴えた。立憲民主党の逢坂誠二政調会長は「残念だが、現下の情勢が厳しいことの裏返しだろう」と指摘した。
共産党の小池晃書記局長は「延期はやむを得ない」とした上で「1年で(感染の状況が)改善すると今の時点で断定的に言えない」と強調した。そのうえで、来年9月末の安倍首相の自民党総裁任期を念頭に、「なぜ1年か、政治的な思惑があるのか確認しないといけない」とも述べた。