農林水産省の食料・農業・農村政策審議会(会長・高野克己東京農業大学長)は25日、新たな「食料・農業・農村基本計画」の案を取りまとめ、江藤拓農水相に答申した。平成27年以来5年ぶりの見直しで、人口減や国内市場の縮小といった逆風の中、農政改革の継続を通じて生産基盤を強化し、国内需要への対応に加え海外への輸出にも注力する。月内に閣議決定する。
食料自給率は、熱量で換算するカロリーベースで令和12年度に45%とする目標を設定し、現行目標(7年度に45%)と同じ水準とした。金額で換算する生産額ベースでは12年度に75%とし、現行目標(7年度に73%)から2ポイント引き上げた。
また今回の見直しでは、畜産物の生産に関して飼料が国産か輸入かを問わない「食料国産率」と呼ぶ新たな指標も導入。12年度にカロリーベースで53%、生産額ベースで79%を目指す。
元年に9121億円だった農林水産物・食品の輸出額を12年までに5兆円に引き上げる目標も明記する。
この日の議論では、出席した委員から「自治体の農政が弱体化する中、政策遂行力の向上が大事だ」「これ以上、食料自給率が下がらないようにしなければならない」との意見が出た。