アマゾンなどのネットショッピングをはじめ、私たちの生活に宅配便は欠かせない存在です。細かい時間指定や再配達などのサービスも当たり前のように感じています。
しかし、その現場はたいへん疲弊しています。国土交通省がまとめた宅配便取扱個数は、２０１０年度の３２億１９８３万個が、１８年度には４３億７０１万個と、８年で３４％も増加。９９％が中小企業である物流業界では、多くが深刻な人手不足と過酷な労働環境に置かれており、著者は彼らが大手物流会社とのサービス合戦という「チキンレース」を強いられていると訴えます。
本書は、ビジネスコンサルタントとして多くの物流企業と現場をサポートしてきた著者が、その経験から業界を救う提言を行っています。
たとえば「物流業界『健康診断』のすすめ」として、事業者が抱える問題点を「物流簡易診断チェックシート」に照らし、進むべき次の一歩を明確にします。
物流企業が取り組む《実践編》では、お金をかけずに今あるものを見直し、有効活用する方法などを現実に即してアドバイス。エクセルを使った伝票作成ノウハウなどは、エクセルが苦手な人にも役に立つ内容です。
「多くの人に手に取ってもらえるよう、分かりやすく使いやすい本」を目指し、物流業界の方はもちろん、普段ビジネス書に縁が薄い方や業界以外の方にも参考になる内容となっています。幅広い層に届くことで、業界が変わるきっかけになればと思います。（東洋経済新報社・１５００円＋税）
東洋経済新報社ビジネスプロモーション局 河面（こうも）佐和子
