味噌汁にもパスタにも合う 昆虫食の味わい方

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 将来の食糧危機の救世主という触れ込みで「昆虫食」が注目を集めている。良質なタンパク質を含むことなどから欧米では牛や豚の代替食として期待されている。ただ、その見た目からか、日本ではまだ一般的な食べ物として広まっていない。そこで食文化として根付かせようと、おいしく食べられる昆虫を提案するベンチャー企業が誕生した。果たして昆虫も肉や魚と並ぶ食となれるだろうか-。  (小川恵理子)

和食にも合う

 見た目はまるで煮干しの粉末のような質感。一口食べると独特のえぐ味を感じるが、においはエビに近い…。

 「これは粉末にしたコオロギです。お湯を注ぐと、かすかに虫っぽい風味が感じられますよ」

 コオロギを使った食品の開発を手掛けるベンチャー企業「BugMo(バグモ)」(京都市上京区)の松居佑典代表(33)は説明する。粉末は飲食店や食品メーカーなどに100グラム、1500円で卸している。「和食のだしに使ったり、パンやパスタに練りこんだりするのがおすすめ。日常生活に昆虫食を取り入れてほしい」


コオロギを粉末にした商品を紹介する代表の松居佑典さん=京都市上京区(永田直也撮影)
コオロギを粉末にした商品を紹介する代表の松居佑典さん=京都市上京区(永田直也撮影)
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 食用として出される乾燥コオロギ100グラムのうち約67%がタンパク質。低脂質で栄養価も高いうえ、昆布などに含まれるうまみ成分「グルタミン酸」も豊富だ。だしにしたときもエビやシジミにも似た独特の香りとこくが魅力だという。

大切な食文化

 起業したきっかけは、学生時代に訪れたカンボジアでの経験だった。強盗に遭い途方に暮れていると、現地の人が商売用の昆虫食を振る舞って助けてくれた。「ここでは昆虫食が大切な食文化で、生計を立てる手段であることが分かった」と衝撃を受けた。

 日本でも長野県などで郷土食と親しまれているが、一般的にはなじみが少ない。「日本にも昆虫食文化を根付かせたい」と思い立ち、平成30年に起業した。もともと、畜産物の飼料のために森林が伐採される環境問題の解決策として、昆虫食が注目されていることに興味を持っていたことも背中を押した。

風味生かす

 すでに欧米では動物肉の代替タンパク質として、コオロギの粉末を練りこんだプロテインバーなどの商品も普及している。ただ、タンパク質の含有量ばかりが着目され、風味の魅力がなおざりにされていると感じていた。

 「食文化として社会に受け入れられるには、おいしく食べることができなければ」と、味にこだわるために、昨年まで滋賀県内の倉庫跡地を利用して、自社で養殖することに挑戦。孵化(ふか)から体長約3~4センチの成虫に成長するまでの約6週間、餌や温度を徹底管理して育てた。


コオロギの粉末(手前)と粉末にする前のコオロギ=京都市上京区(永田直也撮影)
コオロギの粉末(手前)と粉末にする前のコオロギ=京都市上京区(永田直也撮影)
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 米ぬかや大豆かすなど植物性の餌で飼育することで、青臭さが消え、コオロギの風味を生かす製品に仕上がった。ただ、餌やりや排泄(はいせつ)物の掃除などに思った以上に手間がかかり、製品の販売価格のうち、人件費と餌代で80%を占めてしまっているのが課題。コスト削減のために現在、全自動化の飼育システムの構築を目指している。

 「単なる代替食品ではなく、新しい食品カテゴリーとして、コオロギの味、風味を認識してもらえるように開発を続けていきたい」と展望している。

食糧危機の救世主に

 昆虫食が世界的に関心を集めるようになったのは、国連食糧農業機関(FAO)が2013年に出した報告書がきっかけだ。30年までに人口は90億人に達し、食糧が不足することから、栄養価の高い昆虫を食べることを推奨した。

 世界の人口のうち4分の1超の約20億人がタンパク源として1900種類以上の虫を食べていることを報告。よく食べられているコガネムシなどの甲虫、イモムシなど幼虫、コオロギをはじめとしたバッタ類は良質なタンパク質を含み、家畜と比べても生産コストが安いのが特徴と指摘。養殖施設の整備にかかる初期投資費用も安く、貧困層でも起業の機会を得やすいとした。

 一方、2013年のFAOの報告書では、「昆虫を食べることには嫌悪感がある地域もある」とも指摘した。しかし、欧米でも愛好する人は少しずつ増えているようだ。

 日本国内に目を転じると、堺市北区には昨春、昆虫のイラストがあしらわれたオリジナル自販機が登場した。「バッタ 最高のたんぱく質!」「コオロギ まずはこれから!」といったフレーズとともに、ゲンゴロウやサゴワームなど輸入した昆虫食計10種類が並ぶ。

 設置者は整骨院を経営する重光正吾さん(44)。「訪れた人が面白がってくれるのでは」という思惑があたり、20~30代を中心に購入していくという。

 NPO法人「昆虫食普及ネットワーク」(東京都)の内山昭一理事長も「日本では昆虫食は昔から食べられてきた究極の伝統食」と指摘。「おいしく食べるというアイデアで、新しい食のブームが生まれれば」と期待している。

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