【ソウル=名村隆寛】慰安婦問題をめぐる日本政府への抗議集会が開かれていたソウルの日本大使館前が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響ですっかり静かになっている。
集会は元慰安婦の女性を支援する市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」が主催し、毎週水曜日に行われていた。だが、「市民の健康が憂慮される」との理由で、2月26日の集会からは少数の関係者らによる現場での活動を動画中継するかたちになっている。
1992年の開始以降、日本大使館前は毎週水曜日になると大勢の学生ら市民で騒がしくなっていた。日常的にも、大使館前の慰安婦像にはマフラーや帽子が仰々しく着けられ、菓子や飲み物の“お供え物”も置かれていた。そのそばでは学生らがテント生活をし、昼夜、像を監視し続けていた。
ところが、感染問題が深刻化し、像からは帽子などの着衣が取り除かれ、見張りのテントも撤去された。現場では「反安倍、反日青年学生共同行動」の看板を掲げた若者がいるだけとなっている。