コロナの恐怖身近に 志村さん死去で「警戒ステージ」上昇





志村けんさん=2014年12月2日(矢島康弘撮影)

 人気タレントとして活躍中だった志村けんさんの訃報は、新型コロナウイルスが身近な恐怖であることを見せつけた。3月に入ってからもテレビ番組の撮影に参加していた志村さんだが、感染が判明してから約1週間後に亡くなった。志村さんが以前に肺炎を患い、高齢者ゆえのリスクがあったとはいえ、その衝撃は計り知れない。いや応なく警戒の心理的ステージが高まりそうだ。

 日本テレビ系のバラエティー番組「天才!志村どうぶつ園」やフジテレビ系「志村でナイト」にレギュラー出演していた志村さんは、入院する直前まで第一線で活躍していた。

 30日に放送が始まったNHK連続テレビ小説「エール」もその一つ。日本を代表する作曲家役を演じる志村さんは昨年12月から撮影に参加し、今月6日にも収録が行われていた。

 ところが、16日に予定されていた「志村でナイト」の撮影は足のけがのため中止に。翌17日に倦怠(けんたい)感を訴えて自宅静養を開始。発熱や呼吸困難の症状が出たため、20日に都内の病院に搬送され、23日に検査で新型コロナウイルスの陽性と判明した。

 志村さんは平成28年にも肺炎で入院し、今年に入って胃のポリープを切除する手術を受けたばかり。かつてはヘビースモーカーとしても知られ、70歳という年齢的なリスクもあったが、最近までテレビで笑顔をふりまいていただけに訃報には唐突感があった。

 一方で新型コロナウイルスは高齢者だけでなく、若い世代にも感染が広がっている。著名人でも、プロ野球阪神の藤浪晋太郎投手(25)ら20~30代の3選手が陽性と分かり、球団はチーム練習を取りやめた。

 若年層は重症化のリスクが低いともされるが、国際感染症センターは「悪くなるときのスピードがものすごく速い」と警鐘を鳴らす。加えて周囲に感染させる恐れがあるのは、どの世代も同じだ。実際、志村さんの感染源も不明とみられており、改めて国民全体が「感染しない、させない」ための意識徹底が求められる。



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