平成27年の大阪府寝屋川市の中学1年男女殺害事件で、1審で死刑判決を受けた山田浩二被告(49)が、2度目の控訴取り下げを求める書面を大阪高裁に提出したことが31日、分かった。提出は24日付。死刑判決を受けた被告が控訴取り下げを2度も求めるのは異例。高裁は「おそらく前例がない」としており、取り扱いについて慎重に検討するとしている。
山田被告は平成30年12月、1審大阪地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けた。弁護側は即日控訴したが、被告は昨年5月に自ら控訴を取り下げ、死刑が確定。だが弁護側は「精神障害などが影響した」として無効を申し立てた。
これを受け、高裁第6刑事部は昨年12月、刑務官とのトラブルが被告の控訴取り下げのきっかけになったと指摘し、「あまりに軽率で、重大な結果を招くことを意識していなかった可能性がある」などとして、控訴取り下げを無効とし、控訴審を開くべきだとする決定を出した。
この決定に対し検察側が異議を申し立て。高裁の別の部である高裁第1刑事部の異議審は今年3月、第6刑事部の判断について「誤りがあり是認できない」と指摘。無効決定を取り消し、審理を差し戻す決定を出していた。
刑事訴訟法では、被告本人の申し出だけで控訴取り下げが認められると規定されている。