3月の荒れ相場 「未知への恐怖」とリーマン後の新投資手法が増幅





日経平均の終値は19000円を割った=31日午後、東京・茅場町(酒巻俊介撮影)

 東京株式市場は31日、令和初年度の取引を終えた。最近は日米で株価が急変動する場面が繰り返されている。日経平均株価は3月だけで上昇・下落幅が1千円を超えた日が計4営業日を数えた。米ダウ工業株30種平均も16日に2997ドル下落、24日には2112ドル上昇とそれぞれ過去最大の振れ幅となった。新型コロナウイルス感染拡大の終息が見えず、投資家が最も嫌う「不確実性」の強まりが、振れ幅をさらに拡大している。

 日経平均は3月に月中の値幅が4791円に達する荒れ相場となった。投資家の不安心理の大きさを示す「恐怖指数(VIX)」は2月下旬以降、不安が強まっている節目とされる20を大きく上回り、3月は80を超えた日もあった。

 マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは「新型コロナという未知の事象に対し、金融機関やシンクタンクがさまざまな想定を置いている。ニュースが流れるたびに、もともと幅を持って描いたシナリオがさらに増幅し、株価を上下に大きく変動させてしまう」と話す。

 相場の変動率が高まると株式の保有比率を減らす「リスクパリティ」と呼ばれる投資戦略の浸透も売りを加速させた。リーマン・ショック後に開発された新たな投資戦略で、多くのファンドが採用している。

 人工知能(AI)を使った高速取引も相場を混乱させた。インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは「過去にない相場にAIも追いつけず、欧米の機関投資家が一部取引を人の手に戻す動きも出ている」と話す。

 新年度も株式市場の混乱は収まりそうもない。丸紅やJXTGホールディングスなど、令和2年3月期決算の大幅下方修正を公表する企業も相次ぐ。政府による緊急事態宣言も警戒される。ただ、大槻氏は「悪材料は織り込まれつつあり、そろそろ底は近い」と話している。(米沢文)



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