関電の原発3基で再稼働最大4カ月遅れ 死亡事故対策、収益大幅悪化も






 関西電力は31日、高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の工事中に作業員の死亡事故が起きたことを受け、再発防止策による工期見直しで高浜原発1、2号機など原発3基の再稼働が最大4カ月程度遅れる見通しになったことを明らかにした。原発の稼働期間が短くなることで大幅な収益悪化につながりそうだ。役員らの金品受領問題と合わせ、関電の原発運営に大きな狂いが生じている。

 高浜1、2号機で3月13日、安全対策工事にあたっていた男性作業員がトラックにひかれて死亡する事故が発生。関電は再発防止策として、誘導員の配置や車の進入を知らせる回転警告灯の設置などを決めた。

 この影響で関電は原発の安全対策や国が設置を義務付けているテロ対策施設の工事計画を大幅に見直す。運転開始から40年超の老朽原発は再稼働が遅れることになり、高浜1号機は今年11月▽2号機は来年6月▽美浜3号機(同県美浜町)は今年11月-となり、当初の予定からそれぞれ2~4カ月先延ばしされる。

 運転停止によって1基あたり1カ月40億円程度の損失が見込まれるため、単純計算で計360億円収益を押し下げることになる。関電は「安全確認後に再稼働することに変わりないが、地元からの信頼回復に努め、安全最優先で工事を進める」としている。

 関電の原発をめぐっては、役員ら75人が高浜町の元助役(故人)から総額3億6千万円相当の金品を受領していた問題が発覚。「おわびと再発防止の丁寧な説明に全力を挙げる」(森本孝社長)としているが、原発再稼働に必要な立地自治体から同意が得られるか不透明な状況だ。ほかの大手電力に比べて原発依存度が高かっただけに、経営への影響は避けられない事態となった。



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