新型コロナウイルスの感染拡大で、“室内エンターテインメント”の代表格であるテレビの制作現場にも影響が広がっている。NHKは1日、大河ドラマと連続テレビ小説の収録を当面見合わせると発表。出演者やスタッフの感染が判明する中、民放各局も海外ロケやスタジオ観覧を中止するなど番組の内容や演出の変更を迫られている。外出自粛により自宅で楽しめるテレビの存在感が増す時期だけに、各局の柔軟な対応が問われる。
「出演者とスタッフの数が多く、演出上、安全対策にも一定の限界がある」
NHKは1日、大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」と3月30日に始まったばかりの連続テレビ小説「エール」の収録を12日まで見合わせると発表した。すぐに放送が休止することはないが、撮影が予定通りに進まないと、今後の放送に影響が出る恐れがある。
TBSは同日、4日に放送予定だった「オールスター感謝祭2020春」、4月スタートのドラマ「半沢直樹」、「私の家政夫ナギサさん」、「MIU404」の放送を延期すると発表。「オールスター感謝祭」は多くのタレントがスタジオに集まる生放送番組だが、「東京都から感染爆発の“重大な局面”が続いているとの認識が示されていることなど諸事情を勘案」(TBS広報部)した。新ドラマの撮影スケジュールにも影響が出ているという。
日本テレビでは、世界各地でロケをする人気バラエティー番組「世界の果てまでイッテQ!」などの海外ロケが影響を受けている。この状況が続けば、福田博之取締役は「国内ロケをすることになってくると思う」と話す。
実際の病院でロケを行うことが多い医療ドラマへの影響も大きい。民放関係者は「感染拡大以降、外観の撮影も含めてロケをいったん断られた」と明かす。
タレントらが街を歩いて商店などを紹介する、いわゆる“街ブラ”などのロケ番組でも「感染防止に配慮し、街頭インタビューでは十分な距離を置いている」(制作会社社員)という。テレビ東京の人気番組には、出演者と地元住民との交流が見どころになっているものや、一般の人たちの日常の一コマに注目したものが多い。