握手も屋内集会も「×」…埼玉・坂戸市長・市議選、コロナ禍で厳戒


 任期満了に伴う埼玉県坂戸市長選と同市議選が5日告示され、市長選は届け出順に、3選を目指す現職の石川清氏(69)=無所属、新人で元市議の小川達夫氏(59)=同、新人で会社役員の安沢美佳氏(43)=同、新人で出版プロデューサーの尾崎全紀氏(48)=NHKから国民を守る党=の4人が立候補した。

 市議選は、定数20に対し現職17人、元職1人、新人6人の計24人が立候補を届け出た。

 いずれも12日に投開票される。選挙人名簿登録者数は4日時点で8万3514人。

■マスク姿で街頭に

 5日に告示された坂戸市長・市議選は、新型コロナウイルスが猛威を振るう中での選挙戦となった。握手、集会、街頭活動…。支持拡大を図るための活動の多くが感染拡大を助長しかねない状況の中、候補者たちは手探りで異例の戦いに臨んでいる。

 市長選のある新人候補は、東武東上線若葉駅前でマスク姿でマイクを握った。途中、マイクが声を拾いづらくなったため外したが、マスクは常に身に着けているという。複数のスタッフが乗り合わせる選挙運動用の車両にはアルコール消毒液も常備され「『3密』にならないよう工夫している」という。

 県などが週末の外出自粛を呼びかけている最中とあって、街頭で耳を傾ける市民の姿も、通常の選挙に比べて少なく映る。

■投票率の低下懸念

 別の市長選候補は、市議選候補の出陣式に駆けつけ「自分の命は自分で守り、他人の命も守らなければならない」と市民に感染防止策の徹底を呼びかけた。

 「投票率が非常に低い。選挙は義務ではなく権利。あなたが投票すれば坂戸は変わる」とも訴えた。市内で感染者が相次いでいることから、この日は午後の選挙活動を控えたという。

 坂戸市議会は、告示に先立つ3月16日の全員協議会で、「現職以外の候補者に強制するものではない」という前提で、市議選で有権者との握手や屋内での集会開催などを自粛する方針を確認している。

■「白手袋」で安心?

 とはいえ、本来は、より多くの有権者と会って票の上積みを図るのが選挙戦だ。「握手をした人数しか票は出ない」というのが鉄則とあって、市議選のある候補は「こちらから握手はしないが、求められれば応える。断るのは応援してくれる市民に申し訳ない」と困惑する。

 別の候補は「素手だと気になると思うので、白手袋を用意している」と話した。

(飯嶋彩希)



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