楽天の携帯電話事業、自然災害対策に課題 実店舗少なく不十分


 携帯電話の本格サービスを8日に開始した楽天だが、毎年大規模な自然災害が発生する中、災害対策の拡充が課題となっている。通信は災害時に欠かせない重要インフラ。先行の携帯電話大手3社は多くの災害を経験する中で、対策を強化してきた。楽天にも同様の対策が求められるが、自社回線エリアが拡大途上のため、災害時の顧客対応拠点にもなる実店舗の出店地域が限られている。通信エリア拡大とともに、災害対策の強化も急務だ。

 災害対策として、楽天は移動基地局車の配備や緊急時の災害伝言板を設置する方針。ただ、基地局車の配備数などは公表していない。自社回線エリアの拡大とともに、災害対策も全国に広げていく計画だが、地方では未整備な地域が残るのが現状だ。

 しかも地方では、KDDI(au)の回線を借りているところが多く、関係者は「通信が集中する災害時に、地方ではKDDIより楽天の方がつながりにくくなることもあり得る」と指摘する。

 また、楽天の店舗数は全国570店と大手の4分の1程度。充電器貸し出しなどの顧客対応の窓口となる実店舗の少なさは大規模災害時にネックとなりかねない。

 大手3社は、平成23年の東日本大震災以降、役場や災害拠点病院などの重要拠点を中心に、基地局向けのバッテリーや発電機の配備を実施してきた。災害時には、広範囲をカバーできる大ゾーン基地局や中ゾーン基地局など、複数の基地局で補い合って、通信の復旧を早めている。

 台風などの大規模災害への対応として、電源車の整備にも力を注いできた。人工知能(AI)を活用し、基地局の状況を監視するなど、ネットワークの維持に多額のコストをかけている。最後発の楽天はこうした対策が不十分だ。

 通信料金の安さを前面に打ち出し攻勢を掛ける楽天だが、地震や台風が多い日本で災害への弱さが露呈すれば、“致命傷”にもなりかねない。

(高木克聡)



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