【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために外出制限が実施されてから、英国内で家庭内暴力(DV)の相談件数が増加している。
英BBC放送によると、DV被害に苦しむ女性や子供を支援する英慈善団体「Refuge(避難の意味)」への相談件数は3月23日の外出制限開始から数百件増加。同団体が運営するウェブサイトの閲覧数は2月の最終週に比べ150%も増えたという。
Refugeは電話に加えサイトからもDVを通報できるシステムを採用。加害者に気づかれないよう、閲覧履歴を残さない機能が備えられているという。
BBCは「以前からパートナーからのDVを受けていたが、外出制限後、状況が悪化した」と打ち明ける女性を紹介した。自宅待機でパートナーと一日の大半を共にしなければならず、DVが悪化したという。BBCは「(外出制限で)被害者が逃げる手段が失われている」と警告する。
DVによる殺人件数の急増を懸念する声も上がる。英スカイニュース・テレビはDV増加の要因として、外出制限で失業者が増え、学校の休校で子供の世話をする時間が長くなったこともあるとの見方を伝えた。