【主張】武漢の封鎖解除 「再拡大」への警戒怠るな

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 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の震源地となった中国湖北省武漢市の封鎖措置が2カ月半ぶりに解除された。

 8日午前0時の封鎖解除の瞬間に市内の高層ビル群が一斉にライトアップされ、大勢の市民が歓声をあげる様子が国営中央テレビなどで大々的に報じられた。

 全面的な都市封鎖(ロックダウン)に突然さらされ、感染拡大と医療崩壊に直面した武漢の人々が解除を喜ぶ心情は理解できる。

 だが、手放しで歓迎はできない。パンデミックの震源地の態勢を緩めて大丈夫なのか。見切り発車ではないかという不安は拭えない。武漢の実情を判断するための正確なデータを習近平政権が示しているとは思えない。

 習国家主席は「(国内の)感染のピークは過ぎた」と語っている。共産党機関紙「人民日報」(電子版)は「武漢での素早い措置が他国の防疫のために貴重な時間を稼いだ」と強調した。封鎖解除を新型ウイルス抑え込みの象徴として誇示している。

 だが、習政権は新型ウイルス感染を把握しても隠蔽(いんぺい)に走り、初動措置を誤った。そのため世界へウイルスが急速に拡散したのが真実である。それをごまかす宣伝に乗せられるわけにはいかない。

 そもそも習政権は、3月末まで感染者数の発表に無症状者を含めていなかった。正確な情報なしに的確な感染防止策がとれたとは考えられない。中国本土の感染者数は最近ほとんど増えていないが、本当なのか。8日の全国への通知でウイルス検査強化や無症状者に関する情報公開を命じたが、効果が出るとしても先であろう。

 解除初日だけで航空便により1万人以上、鉄道により5万5千人以上が武漢を離れたとみられる。市内の駅構内では大勢の人々が密集して列車を待ち、空港では医療用そっくりの防護服を着た人の姿が見られた。市内では居住区ごとに人の出入りを厳しく見張る封鎖式管理が続く。首都北京への航空便は禁じられたままだ。

 今回の封鎖解除によって再び感染が拡大しないか不安の声が武漢市民からも出ている。警戒は怠れない。

 米政府は各国と武漢のウイルス研究所が情報共有できるよう要求した。習政権にはそれに応じる責務がある。

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