日本・ロシア共同活動の拠点完成 養殖用、事業実現は不透明


 日本とロシアが北方領土で実現を目指す共同経済活動の拠点となる施設が初めて完成した。施設では、共同活動の5項目のうち「海産物養殖」で利用する種苗を生産する計画だが、日ロの協議が難航して事業実現の見通しは立っておらず、当面は立地する根室市など4島隣接地域の漁業振興に活用される予定だ。

 施設は「栽培漁業研究センター」として3月下旬に完成。鉄骨平屋約1700平方メートルの床面積に、約70基の水槽でウニなど複数の海産物の種苗を生産する。国が7億円、北海道が3億5千万円の補助を出し、昨年6月から建設を進めた。年間約3500万円の維持管理費は根室市が負担する。

 共同経済活動をめぐっては、双方の立場を害さない法的枠組みの創設が実現の前提となるが、妥協点が見いだせていない。水産庁の養殖事業の担当者は「実現の見通しが立たないのは遺憾だが、地元漁業のために活用してほしい」としている。



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