どうなる「賃料支援」 飲食店ピンチ、窮状に支援強化論





池袋駅西口の飲食店街=14日午後、東京都豊島区(酒巻俊介撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店などの賃料支払いが運営事業者の重荷になっている。緊急事態宣言による来客数減・休業などで売り上げが見込めない中でも支払わなければならないからだ。政府は緊急経済対策に盛り込まれた給付金などの利用を促すが、与野党は支援強化が必要だとして追加策の検討を始めた。(岡田美月)

 「このままだとバタバタと倒産し始めるだろう。時間の猶予、生き残るチャンスを与えてほしい」。松田公太元参院議員ら飲食店の経営者は21日、東京都内で記者会見を開き、賃料の支払い猶予を認める法整備を求めた。串カツ田中ホールディングスの貫啓二社長も、「雇用を守るために必死にお金を借り続けている最中だ」と強調。インターネットなどで会見に参加した約150人の経営者は次々と窮状を訴え、不動産のオーナーに対して、賃料の猶予や減免に向けたテナント店舗との交渉に応じることを法律で義務付けるよう求めた。

 「(貸し手が)交渉の場にすら出てきてくれない」(外食関係者)という声があるほど厳しい交渉環境の中、政府は賃貸不動産業者に向け、賃料徴収の猶予を呼び掛けている。今月、猶予による減収で生じた損失額を税務上の損金に算入し税負担を軽くするなどの支援措置も打ち出した。

 福岡県のある賃貸ビル業者は、北九州市で運営する物件に入居する飲食店からの相談に応じ、6月まで2カ月分の家賃を半額とすることで合意した。猶予について、「体力があるうちは応じられるかもしれないが、限界もある」と、長期化を懸念する。

 赤羽一嘉国土交通相は21日、「実質無利子・無担保融資や(中小企業・個人事業主に給付する)持続化給付金などで事業継続を応援したい」と述べた。緊急経済対策に盛り込んだ支援策で当面はしのいでほしい-というが政府の立場だ。

 だが、与野党はそれでは不十分だとして、支援強化に前のめりだ。自民党の岸田文雄政調会長は21日、「借り手を直接支援する」と述べ、助成金や補助金の創設を検討すると表明。スピード優先で議員立法も視野に調整するとした。一方、国民民主党の玉木雄一郎代表は、政府系金融機関が賃料を一時的に肩代わりする「家賃支払いモラトリアム(猶予)法案」を国会に提出する考えを示した。主導権争いも過熱する中、経済の活力を維持するために効果的な支援策をまとめられるかが問われる。



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