コロナ禍で飛び交うカタカナ用語 「分かりにくい」の声 感染リスク高まりに貢献も

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新型コロナウイルスに関連したカタカナ語

新型コロナウイルスに関連したカタカナ語

 オーバーシュート、クラスター、ロックダウン…。新型コロナウイルスの影響が広がるにつれ、世間では聞き慣れないカタカナの専門用語が急に飛び交い始めた。感染で重症化しやすい高齢者にこそ伝えなくてはいけない情報が、カタカナ変換で逆に伝わりにくくなっているとの指摘もある。情報を正確に理解できなければ感染リスクの高まりにつながりかねず、丁寧な対応が求められる。

カタカナは「分かりにくい」

 「わざわざカタカナで言う必要があるのか?」

 河野太郎防衛相は3月24日の記者会見で、新型コロナウイルスに関する用語として政府や自治体が「オーバーシュート」や「クラスター」といったカタカナの専門用語を多用していることに対し苦言を呈した。同月26日の参議院外交防衛委員会では、「年配の方をはじめ『良くわからない』という声を聞く」として、分かりやすい日本語を使うよう防衛省から厚生労働省に申し入れたことも明かした。

 河野氏は同月22日の自身のツイッターでも、「クラスター 集団感染 オーバーシュート 感染爆発 ロックダウン 都市封鎖 ではダメなのか」と提言。このつぶやきには6.8万回のリツイートと、24.8万の「いいね」を記録したことを考えると、多くの国民が河野氏の意見に賛同しているとみるべきだろう。

日本語変換「難しい」

 では、こうした事態を想定しながらも、なぜ政府は専門的なカタカナ用語を使うようになったのか。

 例えば「オーバーシュート」という言葉。“爆発的な患者の急増”を意味するこの言葉は、3月19日に開かれた政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で使われた。専門家や研究者の会議などでは普段から使われている用語というが、あえて政府がそのまま使用した背景には「日本語で正確に言い換える言葉が見つからないため」(内閣府関係者)だという。

 そもそも、オーバーシュートという言葉は「行き過ぎる」「度を越す」などの意味があり、市場や相場が行き過ぎた変動を指す金融証券用語として一般的に知られている。日本銀行の金融政策の柱である「オーバーシュート型コミットメント」(物価上昇率が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大を継続する方針)は、その代表例の一つだろう。

 一方、感染症の分野では英国などでオーバーシュートという言葉が使われている例はあるものの、実は欧米ではあまり使用されていない。そのため、日本に住む外国人の中にも正しく意味を理解している人は少なく、感染症分野でもごく一部で使われている専門用語のようだ。

危機対応に格差

 とはいえ、聞き慣れないこのカタカナ語をマスコミがこぞって取り上げたことで、結果的に話題を集め、国民に注目される効果をもたらした。「非常時には、初めて聞く言葉のほうが注意喚起しやすいという狙いも政府にはあったのではないか」(若手与党議員)との見方もある。

 今回の新型ウイルスをめぐっては、トイレットペーパーの買い占め騒動が起き、デマやフェイクニュースに惑わされるケースが多発。改めて“正確な情報”を把握することの重要性が増している。

 法政大大学院の真壁昭夫教授は「インターネットなどを使い自分で言葉を調べられる人は理解度が高まるが、調べられない人は情報自体が頭に入ってこなくなり、政情や危機にも疎くなる」と指摘。さらに、「自分のことしか関心を持たない人が増えてくると、社会の中のルールや規範が成り立たなくなる」と警鐘を鳴らす。

 政府は今月16日に緊急事態宣言の対象を全国に広げたことで外出の自粛が広がり、人と接触する機会が激減した。自ら情報を得る必要に迫られる状況の中、視聴覚障害者や高齢者、通信環境が整備されていない家庭などへの配慮が必要になる。

(経済本部 西村利也)

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