【名画プレイバック】「ローマの休日」ヘプバーンの輝きは永遠


 欧州諸国を訪問中の某国の王女(オードリー・ヘプバーン)が伊ローマで1人街に飛び出し、出会った新聞記者(グレゴリー・ペック)と繰り広げる24時間の小さな大冒険をコミカルに描く。その楽しさ、その切なさ。ラブロマンス映画の原点だ。スクーターで街を疾走する場面など、日本アニメも大いに影響を受けているといっていいのかもしれない。とにもかくにも不朽の名作だ。

 このモノクロの米映画は、「ベン・ハー」などのウィリアム・ワイラー監督が70年近く前の1953年、ローマで撮った。当時無名の新人ヘプバーンを登用したのは、さすがの慧眼(けいがん)だ。歴史と伝統と石畳の街ローマの中にいて、ヘプバーンのしなやかさ、美しい輝きは一層きわだつ。

 だから、ともかくヘプバーンに見ほれよう。実は、緊急事態宣言で休館になる前のシネマコンプレックス(シネコン)で見た。新作の代わりにかかっていた。観客は10人。だが、どこで、どのような形で見ようと、このヘプバーンの美しさは変わらない。自宅のテレビやタブレット端末でもそれは同じだろう。フィルムに焼き付けた輝きは、永遠なのだ。それが映画だ。

 DVD(NBCユニバーサル・エンターテイメント、1429円+税)のほか、アマゾン・プライムなど配信でも見ることができる。(石井健)



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