高市首相の台湾有事に関する発言で、中国が反発している。台湾有事に対し、日本はどう向き合えばいいのか。元海上自衛隊幹部でYouTuberのオオカミ少佐は「旗幟は早めに鮮明にしておいたほうがよい。関ヶ原合戦での小早川秀秋になってはいけない」という――。(第2回)
※本稿は、オオカミ少佐『元海上自衛隊幹部が教える 国を守る地政学入門』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
■中国による先制攻撃2パターン
中国の視点に立ってみましょう。台湾の継戦意思を挫(くじ)く、アメリカの軍事介入を阻止する、日本の中立化=在日米軍基地を使用させない、これら3つのうち1つでも達成することができれば、台湾侵攻が成功する公算が大いに高まります。
2003年の中国共産党中央委員会及び中央軍事委員会において採択された中国人民解放軍政治工作条例のなかに「三戦」の記載があります。
三戦とは世論戦、心理戦、法律戦で、世論戦は中国軍の敢闘精神を鼓舞し、敵の戦闘意欲の減退を目的とする世論を醸成すること、心理戦は敵の抵抗意思を破砕(はさい)すること、法律戦とは中国の武力行使の合法性を確保して敵の違法性を暴き、第三国の干渉を阻止することを指します。
たとえば、インターネットを通じて「日本は中立化すべき」だとか、「アメリカの軍事介入はよくない」「中国と台湾は1つ」……といった意見を流すことは意味があるわけです。こうしたことは平時でもできますし、対象は一般の人々ですからね。
そして、いざ有事となったときは、日米が介入してくる前に日本を叩くという選択肢をとったほうがよいと中国は考えるかもしれません。
台湾有事について、専門家の間では中国の出方は大きく分けて2つのシナリオがあると考えられています。1つは「攻撃を台湾に集中させる」、もう1つは「日米への先制攻撃を加えてから台湾に着上陸する」というものです。






