欧州、再開動き出す製造・建設業 スウェーデンは活動制限せぬ独自路線 

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スウェーデンの首都ストックホルムのレストランで楽しむ人たち=20日(AP)

スウェーデンの首都ストックホルムのレストランで楽しむ人たち=20日(AP)

 【ロンドン=板東和正】欧州で新型コロナウイルスの感染拡大を受けて休止していた製造業や建設業などの経済活動が再開に向けて動き出している。

 英自動車大手ジャガー・ランドローバーは23日、英中部ソリフルにある組立工場の操業を5月18日に再開すると発表した。同工場は、英政府が外出制限を開始した3月23日に生産を停止していた。同社は英国の他の工場も順次、再開する方針で、従業員の「ソーシャルディスタンス(他者との距離)」を確保して、感染予防対策を徹底する。

 また、英メディアによると、住宅やビルの建設、道路工事が1週間ほど前から英国内の一部の地域で再開しているという。

 英政府は外出制限に伴い、レストラン、バー、カフェなどを休業させたが、自宅以外でしかできない仕事のための外出は認めているため、製造・建設業の営業は容認している。ただ、従業員の感染リスクなどを考慮して、大半の製造・建設業は休業を自主的に判断していた。

 製造・建設業が再開に向けて動きだしたのは、英政府の強い要望があったからだ。ビジネス・エネルギー・産業戦略相のシャーマ氏は3月下旬~4月上旬にかけ、製造・建設業の関係者に外出制限中も営業を継続することを求める内容の書簡を送った。英統計局によると、製造・建設業は年間400万人以上の雇用を創出する。製造・建設業の休業は失業者の増加や景気低迷につながるため、政府は対応を急いだとみられる。

 外出制限が5月上旬まで延長されるイタリアとスペインでも製造・建設業が再開しつつある。経済活動を段階的に認めることを決めたイタリアでは5月4日に製造・建設業などの再開を容認する。スペインでは、今月13日に一部の製造・建設業が2週間ぶりに再開された。

 一方、都市封鎖(ロックダウン)を導入しない北欧スウェーデンは経済活動を極力制限しない「独自路線」を続けている。スウェーデンは人口の一定割合がウイルスへの免疫を獲得することで感染を抑制する「集団免疫」の手法をとるため、緩やかな制限措置にとどめる。同国政府は製造・建設業だけでなく、テーブルの間を1~2メートル離す「他者との距離」順守を条件にレストラン、バー、カフェの営業も容認する。

 欧州経済の専門家は「スウェーデンは、他の欧州諸国とは別世界にいる」とした上で「新型コロナの影響をもろに受けておらず、景気低迷の心配がほとんどない」と分析する。

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