トランプ氏、ホワイトハウスでの巨大星条旗掲揚式で物議醸す発言

ドナルド・トランプ前大統領が2020年6月19日、ホワイトハウス前に新たに巨大なアメリカ国旗(星条旗)を掲揚しました。この際に行われた記者会見でのトランプ氏の発言が、労働者や不法移民に対する配慮に欠けるとして大きな批判を呼んでいます。世界的な政治社会ニュースとして、この出来事は多くのメディアで報じられ、その波紋は広がりを見せています。

ホワイトハウス前での星条旗掲揚と記者会見

米BBCなど複数の報道によると、この日、トランプ氏はホワイトハウスのサウスローンに集まった記者団の前で、真新しい巨大な星条旗の掲揚を見守りました。これはホワイトハウス前庭の国旗を交換する機会を利用して行われたものでした。

掲揚作業を行ったのは、おそらくホワイトハウスの施設管理に関わる作業員たちでした。彼らが周囲にいる中で行われた記者会見で、一人の記者がトランプ氏に質問しました。質問は、アメリカ国土安全保障省が不法移民の取り締まりを強化していること、そしてその摘発対象者へのコメントを求めるものでした。

トランプ氏はこの質問に対し、まず「我々は『悪い人』から先に国外退去させている。その数は何千人にも及ぶ。殺人者、麻薬の売人、それから精神に異常をきたした人々…」と、自身の移民政策における優先順位について述べました。

作業員に向けられた異例の問いかけと「警告」

この後、トランプ氏は突如、自身の近くにいた作業員たちの方を振り返り、異例の質問を投げかけました。「ここに不法移民はいるか?」と問いかけ、「もしいるなら、必ず発覚するだろう」と続けました。

さらに、トランプ氏は冗談めかした口調で「あなたたちは監視されている。信じられないかもしれないが、この記者会見に姿を現したことで、人生がメチャクチャになるかもね」と発言しました。

ホワイトハウス前で巨大な星条旗を背景に作業員と話すトランプ大統領ホワイトハウス前で巨大な星条旗を背景に作業員と話すトランプ大統領

トランプ氏は最後に、自身の発言の意図について弁解するかのように、「作業スタッフが目立ってしまって、(記者たちに)あとからあれこれ言われてほしくなかった。『どこの出身だ』『あの人たちは誰だ』とね。ホワイトハウスの職員は大丈夫だと思う」と述べ、笑ってその場を締めくくったと報じられています。

発言への批判とネットの反応

この一連のトランプ氏の作業員に向けた発言は、瞬く間に拡散され、インターネット上で大きな批判の声があがりました。多くの人々が、労働者に対して公の場で不法移民かどうかを問いかけるという行為自体が、非常に失礼で不適切であると感じたようです。

ネット上では、「一体、この発言の何がおもしろいのか理解できない」「聞いていて恥ずかしくなってくるようなやり取りだ」「なんて失礼な質問なんだろう」といった直接的な批判に加え、「トランプは、自分が(移民たちの)人生を破壊していることを知りながら、それをジョークにしている。労働者を強制送還し、彼らの家族を破壊している。移民にまつわる非常識でメチャクチャな戯言はもううんざり」といった、トランプ氏の移民政策全体への不満と結びつけた厳しい意見も見られました。

この出来事は、トランプ氏の持つ独特なコミュニケーションスタイルと、アメリカ社会における移民問題の根深さを改めて浮き彫りにするものとなりました。

参考文献

  • BBC News
  • BuzzFeed Japan