公正取引委員会は28日、米グーグルなどの巨大IT企業が手掛けるインターネット広告の取引実態に関する調査の中間報告を発表した。取引先である広告主や広告代理店などからは、巨大ITとの契約内容について問題や課題を含む規定があるとの回答が一定割合を占め、「一律的で自社の意向を踏まえた変更ができない」「巨大ITが任意に変更できる」などと疑問を呈する声が上がった。
調査は、ネット広告で大きな影響力を持つ巨大ITの取引実態を探るのが目的で、昨年11月に開始。公取委は、巨大ITが強い立場を利用して取引先に不利益を強いるなどの独占禁止法上の問題がないかなどを引き続き調査し、最終報告をまとめる方針。ネット広告については、政府のデジタル市場競争会議でも議論を進めている。
中間報告では、巨大ITはグーグル、ヤフー、米フェイスブック、ツイッター、LINE(ライン)などを想定。取引先の広告主や広告代理店、広告仲介事業者、広告枠を持つメディアを対象としたアンケートでは、それぞれの巨大ITとの契約内容について問題や課題があるとの回答が75・0~25・0%に達した。
また、巨大ITが提供する広告関連サービスについて、取引先の一部からは「第三者が提供するサービスの利用が禁止された」との指摘があった。不正に広告費を詐取する「アドフラウド」に関して巨大ITが講じる対策には「不満がある」との回答が目立った。
消費者向けのアンケートでは、検索サービスの利用にあたって事業者による利用者データの収集や利用に懸念があるかを尋ねたところ、何らかの懸念があるとの答えが52・2%を占めた。それでも検索サービスを利用する理由については「便利であるため」が複数回答で61・3%に達した。