【北京=三塚聖平】北京市政府は30日、新型コロナウイルスに関する警戒レベルを最高水準の「1級」から「2級」に1段階引き下げた。これを受け、同市を訪れる人に対する隔離措置が一部緩和された。延期されていた全国人民代表大会(全人代)が5月下旬に北京で開かれることが決まっており、それに向けた環境整備の一環とみられる。
市政府の発表によると、国内の「低リスク」とされている地域から北京に戻る人や出張に来る人は、14日間の隔離措置が不要になった。ただ、湖北省や中国本土外から北京を訪れる人への隔離措置は続けられる。
北京市は入国者に対し、指定施設での2週間の集中隔離に加え、同措置を終えた後も自宅で7日間の経過観察を行うよう求めている。市政府は4月29日の記者会見で、海外からの感染者流入などについて「リスクを過小評価することはできない」と警戒を示した。
29日には全人代が5月22日に北京で開幕することが決まり、約3000人の代表とその関係者の受け入れ態勢を整えることが喫緊の課題となる。また、経済活動の本格再開に向けて、出張や観光などを妨げている制限措置の緩和を段階的に進めているものとみられる。
中国では5月1日に労働節(メーデー)の5連休が始まるが、北京の観光名所「故宮博物院(旧紫禁城)」は同日から約3カ月ぶりに営業を再開する。感染拡大に歯止めが掛かったとして、中国各地の観光地で再開の動きが続いている。