新型コロナウイルス感染拡大で混乱している令和3年春卒業・入社組の就職・採用活動は6月1日、面接などの採用選考が解禁を迎える。3月に新卒採用の会社説明会が始まってから、対面による説明会やOB・OG訪問がほぼ行われない状況が続いており、6月からの採用選考もオンラインによる面接が主流となりそうだ。日立製作所は全工程をオンラインとし、対面での面接なしでも内々定を出す方針を打ち出した。
今後の採用の内々定を出すなどの日程について、大企業の多くは「例年と同じ」とする方針。経団連は会員企業に対し、年間を通じた複数回の採用選考の機会確保に努めるよう呼び掛けているが、より優秀な人材を確保したい大手企業には届いていない。
日程は「例年通り」
「現時点では、採用活動は予定通りの実施」
三井物産の採用担当者はこう説明する。アサヒビールや出光興産なども同様に、採用日程は例年通りとする方針だ。
現状の緊急事態宣言が発令される中で、例年のように6月1日に各社に学生が列をなして、面接に入るというスタイルは想定しにくい。会社説明会などで企業が実施してきたインターネットなどを活用した“オンライン就活”が基本となる。
もともと、オンライン就活は、対面による感染を防ぐための苦肉の策としての取り組みだった。ところが、「これまで1回のセミナーにおける出席者は、対面なら200人程度だったのが、オンラインでは1500人程度。当初の計画より数倍の学生と接触できた」(伊藤忠商事)、「OB・OG訪問の代わりにインターネット上でのやり取りで、不安な学生の気持ちに寄り添える対応ができた」(損害保険ジャパン)など、企業側にとってはおおむね好評だった。就活生にとっても、交通費をかけずに場所を問わず企業のセミナーに気軽に参加できることについて、メリットを感じているようだ。
今後の採用方針について、日立製作所は「選考スケジュールは原則として例年と同様とし、方法はすべてオンラインで実施する」と決めた。内々定についても、対面による面接を経ずに出す構えだ。飲料大手のキリンホールディングスでもオンラインによる面接に切り替える調整に入ったほか、住友商事は「1次面接については、オンラインで実施することを決定し、学生にもすでに通知した」と言う。