【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は1日、ジュネーブでの記者会見で、新型コロナウイルスについて、最高度の警戒を呼びかける「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を継続すると表明した。4月30日にテレビ会議方式で招集した専門家らによる緊急委員会の勧告を受け、継続を判断した。
WHOは1月30日に緊急委を開き、新型コロナについて緊急事態を宣言した。緊急委は少なくとも3カ月ごとに招集される仕組みになっており、現状分析と今後の対応を検討した結果、緊急事態宣言の継続を勧告することが決まった。緊急委は、WHOが動物由来と主張する新型コロナの発生源についての調査を進めることも求めたという。
一方、テドロス氏の辞任を求める米国発の署名サイト「Change.org」で、賛同者が今月1日までに102万人を超えた。署名活動の発起人は近く、集まった署名を国連とWHOに提出する方針。発起人は、テドロス氏が1月22、23日に開催された緊急委で緊急事態宣言を見送ったことが、感染拡大につながったと非難している。
これに対しテドロス氏は5月1日の会見で、「(1月30日時点で)中国以外では感染例がたった82で死者もいなかった」と指摘。にもかかわらず緊急事態を宣言したことは「世界が(新型コロナに)対応するのに十分な時間を与えた」として、宣言の時期は「適切だった」と主張した。