新型コロナウイルスの感染が広がるなか、疫病退散に御利益があるとされるダルマを描いた限定ラベルの日本酒「動かずじっと 達磨(だるま)正宗」が発売された。売り上げ減少に悩む京都の酒屋と岐阜の酒蔵が協力し、日本酒を通して外出自粛を呼びかけようと企画。
発案者の一人、中畝(なかうね)康博さん(49)が経営する京都市伏見区の「中畝酒店」では、感染拡大の影響を受け、2月頃から売り上げが半減。何かできないかと模索するなか、中畝さんに相談を持ちかけたのが、取引先で同じく出荷減に悩む岐阜市の酒蔵「白木恒助(しらきつねすけ)商店」の七代目蔵元、白木滋里(しげり)さん(51)だった。
「江戸時代に天然痘が流行した際に赤いダルマを魔よけとして飾ったという言い伝えを聞いた。新型コロナに絡めて商品化できないか」
同酒蔵の主力銘柄「達磨正宗」のトレードマークがもともとダルマだったことや、“達磨寺”として知られる法輪寺(京都市上京区)とも親交があったことから、疫病退散の願いを込めたダルマが描かれた限定ラベルが完成。9年間壁に向かって座り続けたというダルマの伝説と外出自粛を絡めて、「動かずじっと 達磨正宗」と命名し、4月末に発売を始めた。