台湾の医師に共感 新型コロナ対応「エアロゾルボックス」を医療機関に無料配布へ 千葉・協同工芸社





完成したエアロゾルボックスを確かめる五井病院の医師や協同工芸社の社員ら=1日、千葉県市原市(同社提供)

 新型コロナウイルス感染症の治療に携わる医療従事者への感染の懸念が深刻化する中、医師らを飛沫感染から守る「エアロゾルボックス」を千葉市美浜区の看板製造「協同工芸社」が千葉県市原市の五井病院の協力を得て、作った。「コロナ治療で戦う医療機関に届けたい」。同社の箕輪晃社長(48)は全国の医療機関に50台を無料配布することにしている。

 エアロゾルボックスは、患者の頭部を透明のアクリル製のボックスで覆いながら、治療にあたることができる器具。患者からの出血や飛沫による感染から医療従事者を守る。

 医療とは畑違いの同社がエアロゾルボックスに注目したきっかけは、このボックスを開発した台湾の男性医師が世界の医療従事者に向け、設計図を無料で公開したことだ。

 台湾外交部のニュースサイト「TAIWAN TODAY」日本語版によると、医師は新生児の保育器にひらめきを得て、医療従事者を感染から守るための応急措置用として作った。「医療関係者が命を落とすことがあったら、感染症の制御はさらに難しくなる」。特許出願すると他の人が作れなくなることなどから設計図を無料公開した。

 同社は仕事柄、日常的にアクリル板を使っている。同サイトの記事を読んで台湾の医師に共感した箕輪社長は「中小企業の私たちにもできることがあるはずだ」と製作に意欲を示した。医療従事者の意見を取り入れる必要から、知人の外科医で五井病院の加藤良二病院長(67)に協力を求めた。側面にチューブ挿入用の穴を開けるなどの改良を重ねて、高さ約50センチ、幅約51センチ、奥行き約40センチのエアロゾルボックスができあがった。

 有用性について、加藤病院長は「ボックスを患者の顔にかぶせることで、コロナの重症者に人工呼吸器の管を入れる際、医師や看護師への飛沫などを防ぐことができる。救急現場でも倒れている人を覆うことで、呼吸器を介しての感染を予防できる」と説明する。

 箕輪社長は「会社の利益より、まずは医療従事者の役に立ちたい」と、全国の医療機関に50台の無料配布を計画。同社ホームページで申し込みを受け付けている。



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