新型コロナウイルス感染拡大で、プロ野球やJリーグなどが軒並み、開幕延期などに追い込まれる中、プロスポーツの“最後のとりで”の一つが競馬だ。自身は今年4月で番組出演9年目を迎えた。
ピン芸人としては平成23、24年に「R-1グランプリ」で決勝進出を果たした実績があるが、お笑い界では全国区とは言い難い。だが「ウイニング競馬」はBSテレ東でも毎週土曜午後2時半から放送され、競馬ではすっかり“全国区”といえる活躍ぶりだ。
番組では昨年、予想した馬券収支が年間でプラスに。今年も好調だ。「確かに去年ぐらいから覚醒しましたね。秘訣(ひけつ)はやっぱり1点買い。ギャンブルはそうじゃないと勝てない。それと『この馬は(逃げても最後まで)残らないでしょ』というような逃げ馬に注目しているんです」と、その好調の裏を明かす。
番組では、美浦(茨城県)や栗東(滋賀県)のトレーニングセンターでの取材もこなす。武豊騎手に直撃取材するのもしばしばだ。「僕が馬券に夢中になり始めた当時は、まさに“天下の武豊”でした。そんな豊さんが取材で僕をいつもイジってくるんですが、初めてイジってもらえたときは、『認識してもらえたんだなあ』と感動しましたね。何度も会っているのに、『はじめまして』と得意のボケをかますし」と笑う。
この季節は、GIなどの大レースが開催される時季だ。「GIでも未勝利戦でもいいから、馬券で勝ちたいのが本音」と笑いつつ、「やはりGIは燃えるので勝ちたいですね。今月末は日本ダービー。この仕事をする前は、ここまですごいとは思わなかったけど、関係者はみんなダービーを勝ちたいと言いますから」と話す。
無観客ながら開催が続く中央競馬に、「今は正直、続いていることがありがたい」と吐露。自身も、イベントなどの仕事がなくなり、コロナ禍で今は競馬が唯一の仕事となっている状況だ。
「本当は競馬で生活を左右されずに、ちゃんと芸人として売れたい」と言いつつ、「競馬の仕事は一生やりたい」ときっぱり。「仕事のために競馬をするのではなく、予想したくて仕方ない。それに、競馬はお金持ちから庶民まで楽しめるいい趣味です。馬券を買わなくてもレースや馬の美しさを楽しめますからね」と、すっかり競馬界のスポークスマンと化していた。さすが“全国区の競馬芸人”だ。
(兼松康)
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きゃぷてんわたなべ 昭和50年生まれ。静岡県出身。地元の高校を卒業後、UWFインターナショナルの練習生となりプロレスラーを目指すも断念。その後、お笑いの道に入り、平成17年から22年まではお笑いトリオ「キラッキラーズ」で活躍した。同年からピン芸人となり、「クズ漫談」などが人気に。今も「クズでおなじみ、キャプテン渡辺だよ!」はお決まりのフレーズ。