21日、国会で実施された首相指名選挙の結果、自民党の高市早苗総裁が第104代首相に選出されました。これにより高市氏は、憲政史上初の女性首相という歴史的な一歩を刻むことになります。首相就任の前日である20日には、東京・永田町の星陵会館で「高市早苗総裁就任記念国民の集い」(新しい歴史教科書をつくる会主催)が開催され、定員400人の会場は満席となり、高市新首相への熱い期待と保守層の熱気が渦巻いていました。この集いでは、登壇した保守系文化人から「日本は復活する」「公明党を追放した」といった力強いメッセージが発せられ、高市氏自身も「日本列島を強く豊かにするために、力を尽くして働いていく」とコメントを寄せています。
高市新首相誕生への道のり:公明党連立離脱と維新との連携
高市氏は4日に自民党総裁に選ばれましたが、その後10日に公明党が連立政権から離脱したことで、一時的に首相選出の行方が不透明になる局面も存在しました。しかし、20日に日本維新の会との間で連立協議が合意に至ったことにより、高市氏の首相就任はこの日には確実なものとなり、大きな注目を集めました。前述の「国民の集い」では、その熱気と期待感が会場全体に満ち溢れ、高市氏の新しい政権運営への強い意志が示されました。
高市早苗氏の首相就任前日に星陵会館で開催された「国民の集い」で、満席となり熱気に包まれる会場の様子
「国民の集い」に集う保守層の期待と提言
「国民の集い」では、呼びかけ人代表として日本会議会長の谷口智彦氏が登壇し、力強くスピーチを行いました。谷口氏は、公明党の連立離脱を「願ってもないことが起きましたね。公明党の出奔(しゅっぽん)です。(高市氏は)自分で自分の産婆役になるという、まれにみる大仕事をやったんです」と評価し、高市氏の手腕を称賛しました。さらに谷口氏は、高市新政権に対し「男系皇統の永続的な維持」と「憲法9条への自衛隊明記」という二つの重要な政策提言を行い、保守層からの具体的な政策要望を明確に示しました。
田母神俊雄氏が語る「公明党追放」と高市氏への信頼
元航空幕僚長の田母神俊雄氏もこの集いに登壇し、「みなさんこんばんは。危険人物の田母神でございます」とユーモアを交えながら挨拶をすると、会場からは笑い声が上がりました。田母神氏は、高市氏が「公明党の追放、これをやりました」と述べると、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。中道路線をとる公明党との連立が、保守強硬派が推進したい政策の妨げになっているという懸念は、以前から一部で強く指摘されていました。
田母神氏は、高市氏との20年来の交流についても言及し、当時「早苗ちゃん」と呼んでいた頃を懐かしみました。「私が高市総裁に初めて会ったのは、20年ほど前。私が自衛隊在職中にお会いして、非常に国家観、政治観のしっかりした素晴らしい政治家だなというふうに思っていました。当時、彼女もまだ40代の半ば。その後、私が空幕長時代には、ご主人の山本拓(元衆院)議員と空幕長室に来て、酒盛りをしたこともありました。その頃は“早苗ちゃん”と呼んでいたんですけれども、これからはとても“早苗ちゃん”とは呼べないですが、交流は保っていきたいと思っております」と語り、長年の信頼関係を強調しました。
結論:初の女性首相としての船出と政権運営の行方
高市早苗氏の憲政史上初の女性首相就任は、日本の政治史における新たな章の始まりを告げるものです。公明党の連立離脱と日本維新の会との新たな連携は、今後の政権運営において重要な転換点となるでしょう。就任前日の「国民の集い」で示された保守層からの強い期待と具体的な政策提言は、高市新政権が直面する課題と方向性を浮き彫りにしています。高市氏がこの期待に応え、「日本列島を強く豊かにする」という自身の掲げる目標をいかに実現していくか、その手腕と今後の政治動向が注目されます。