【パリ=三井美奈】新型コロナウイルスのワクチンや治療薬開発を進めるため、欧州連合(EU)の主導で4日、テレビによる支援国会合が開かれた。世界保健機関(WHO)や日欧、中東など約40カ国・機関が参加する中、米国は参加を見送った。
会合後、EUのフォンデアライエン欧州委員長は、「総額74億ユーロ(約8580億円)の拠出表明があった。かつてない世界的協力の出発点だ」と述べた。
会合にはテドロスWHO事務局長、安倍晋三首相、メルケル独首相、ジョンソン英首相、トルコのエルドアン大統領、20カ国・地域(G20)議長国サウジアラビアのラビア保健相、韓国の康京和外相らが参加。中国からはEU代表部大使が参加し、米国による対中批判を念頭に「責任のなすり合いは意味がない」と述べた。
安倍首相はビデオメッセージで、治療薬として期待されるアビガンを各国に提供していると説明し、来年に延期された東京五輪・パラリンピックの開催が「危機に打ち勝った証しになる」と述べた。
EUの発表によると、各国が表明した拠出額はフランスが15億ユーロ、英国が5億5000万ユーロ、日本が7億6000万ユーロ、中国が4600万ユーロなど。すでに表明した貢献額も含まれる。
トランプ米大統領はWHOが中国寄りの立場をとり、新型コロナへの対応に失敗したとして先月、拠出金停止を表明している。