新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと発令された緊急事態宣言の期限が、全都道府県で5月末まで延長されることになった。「もう限界」「立ち行かない」。これまでも休業や営業時間の短縮を余儀なくされてきた観光地や繁華街の店舗からは、悲痛な声が漏れる。一方で、新たに弁当の移動販売を始めるなど、工夫で苦境を乗り切ろうとする動きもある。
■「理解しているが…経営厳しい」
国内外から観光客が訪れる東京・浅草。浅草寺近くの商店街にある飲食店「浜新」は、ゴールデンウイーク(GW)の大型連休明けの7日から自主休業を解除し、営業時間を短縮して店を再開することを決めた。
4月7日に東京都内で緊急事態宣言が出されて以降、浅草では多くの店舗が店を閉めている。都の休業要請の対象に飲食店は含まれていないが、浜新も客への感染リスクを考慮して営業を中止してきた。
だが、宣言の延長に合わせて、休業をこれ以上続けるのは難しい。女性店長(50)は「このままでは経営が立ち行かなくなる」と打ち明けた。
雷門のそばにある和菓子店を営む女性(52)は、延長後も店を開け続けるべきか悩んでいる。付近の百貨店が全館休業しており、店にはこの日、端午の節句を前に柏餅を買い求める客が多く訪れた。「開ければお客さんは来てくれるが、自粛中に良いのか。逆に買えないと困るという人もいるし…」と、困惑した表情を見せた。
普段は多くの観光客でにぎわう那覇市中心部の「国際通り」は、大半の店が臨時休業で閑散としていた。沖縄県内でホテル事業を展開する「かりゆしグループ」オーナーの平良朝敬さん(65)は「早く収束させることが大事と理解している。ただ経営は厳しく、夏休みシーズンまでに段階的に営業を元に戻せるようになってほしい」と複雑な胸の内を明かした。