農水産業の現場で悲鳴 実習生の来日見通せず 大幅減収も






 新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国人技能実習生の来日の見通しが立たず、農業や水産業の生産現場が人手不足に直面している。農林水産省によると、その数は約2700人に上る。生産に支障をきたしかねないため、政府は農家が代わりの人材を雇う際に上振れた労賃の補助や農作業の手伝いでかかる活動費の補助などに乗り出した。

 北海道の道南にある日高町。農家を営む鈴木慎也さん(42)はこの地で、トマトを中心にコメやキュウリ、レタスの生産を手掛けている。技能実習生を毎年受け入れており、今年は中国・河北省の2人が3月中旬からトマトの収穫や手入れなどに当たる予定だったが、新型コロナの影響でまだ来日できていない。パートタイマー3人と自身の家族を含めた計7人で日々の農作業を回している。

 「(技能実習生がいない影響は)かなり大きい。彼らが来ないとなれば、すべて自分たちでやらざるを得ない。今年に入ってから体重が5キロ落ちた」。鈴木さんはこう話す。5月の大型連休明けにはトマトの収穫や出荷が始まり、人手はさらに必要になってくる。

 農業経営への影響も大きい。人繰りの見通しが立たないことで、周囲の農家の中には作付面積を減らしたところもあるという。鈴木さんもキュウリなどの生産を見送る考えで、「例年に比べて500万から600万円の減収になるかもしれない」と危機感を示す。

 こうした状況の農家や水産加工業者らはいま全国にいる。技能実習生や「特定技能」の外国人について、江藤拓農水相は4月28日の記者会見で、22日時点では農業分野で約2400人、水産業で約300人が、来日の見通しが立っていないと説明。政府は農業や水産業の生産維持に向け、30日に成立した令和2年度補正予算で人手確保に向けた緊急支援策を盛り込んだ。

 当てにしていた技能実習生の来日の見通しが立たない農家や農業法人が他業種などから新たに人を雇う際に、技能実習生の労賃を上回る部分については時給500円を上限に補助する。

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