「落ち込みは秋まで」 宣言解除で生産再開に期待も、中小は依然厳しく 





休業要請が段階的に解除される大阪の通勤風景=15日午前、大阪市北区

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の一部地域での解除などを受け、企業は経済活動の再開に向けて動き始めた。大手製造業はテレワーク(在宅勤務)を緩和するなど、生産活動の本格化に向けた検討を進める。ただ、中小企業の見通しは依然厳しく、「すぐに回復するか分からない」「落ち込みは秋までかかる」との声が根強い。大手の生産減のしわ寄せで資金繰りに行き詰まり、経営破綻に歯止めがかからない可能性もある。(岡本祐大、山本考志)

 大手製造業は新型コロナの感染拡大防止を目的に、今月いっぱいはオフィス勤務者のテレワークを原則維持する方針。ただ、シャープは宣言解除地域で在宅勤務率の緩和を検討。神戸製鋼所も原則毎日だったのを宣言解除地域の拠点では週2回以上にするなどした。

 またパナソニックは取引先への影響などが出ない範囲で工場を稼働させていたが、宣言が解除された地域では感染予防策をとりながら生産量を上げていく方針だ。

 一方、中小企業の苦境は当面続くとの見方が多い。大手の生産減の影響が中小企業にも波及するからだ。

 建築資材を製造販売する中小企業を経営する男性は「5月以降、新規受注が激減し、売り上げは半減。いつ持ち直せるのか正直分からない」と漏らす。また、電子部品卸売会社は「現場は止まったまま。落ち込みは秋まで続きそう」とする。

 中小企業を主な顧客とする地銀には、手元資金がないと融資相談に来る製造業者が増えている。ある地銀の幹部は「中小企業の資金繰りが行き詰まるのはこれからだ」と話す。

 東京商工リサーチのまとめでは、飲食や宿泊業を中心に新型コロナの影響で15日時点で150件が経営破綻に追い込まれた。大都市圏以外の感染者数が少ない地域でも倒産が出ており、破綻する企業数のペースは加速。負債をなくしてから自主廃業を決める個人事業主もあり、実際に事業継続を断念するケースはさらに多くなるとみられる。



Source link