自民党がマイナンバー普及に本腰 普及率16%、一律10万円給付の申請で混乱






 自民党がマイナンバーカードの普及に本腰を入れている。国民1人当たり一律10万円の現金給付で、オンライン申請に必要なカードとして注目されたのを好機と捉え、党のプロジェクトチーム(PT)が19日までに具体的な普及策と改善策をまとめる。10%台に低迷する普及率の増加を図る狙いもあるが、個人情報漏洩などへの警戒も根強く残っており、不安を払拭できるかが焦点となりそうだ。

 「普及率が5%とか10%では話にならない。多くの国民の理解をいただけるよう、党も努力していかなければならない」

 二階俊博幹事長は11日の記者会見でこう語り、与党としてカードの普及を後押しする意向を示した。これに先立つ党役員会では、稲田朋美幹事長代行も「次に給付金を配る際は世帯単位ではなく、カードを活用して個人単位での給付を考えるべきだ」と提案した。

 マイナンバー制度は、社会保障、税、災害対策の3分野における行政手続の簡素化などを目的に平成28年1月に導入された。国が国民の所得などを把握しやすくなるとして、公平な税負担や迅速な各種の給付につながるとも期待された。

 30年1月からは預金者の同意に基づき、銀行が預金口座にマイナンバーをひも付けることが可能になった。現在は任意での運用だが、政府は来年以降の義務化を目指している。

 しかし、今年4月1日時点で発行済みのカードは約2033万枚で、人口に対する普及率は16・0%にとどまっている。党幹部は「メリットが周知されておらず、個人情報の漏洩を懸念する人も多い」と語る。

 ただ、最近は現金の一律給付の影響でカードの注目度が一気に高まり、多くの地方自治体の窓口が問い合わせなどで混乱している。

 こうした状況を踏まえ、自民党は追加の現金給付措置などを見据え、PTで19日までに具体的な普及策と改善策を取りまとめる方針だ。プライバシー保護と利便性を両立させる仕組み作りなどが焦点となるが、党政調幹部は「『給付が遅い』と不満が高まっている今こそ普及のチャンスだ」と語る。

(広池慶一)



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