積水ハウス(大阪市北区)が創業50周年を迎えた平成22年から続けているシリーズ広告「家に帰れば、積水ハウス。」。スタートから10年の節目を迎えた今年、受賞を果たした。
「一般的に、住宅メーカーの広告は家のビジュアルをメインに使うものですが、そこから一歩踏み込み、住んでおられる方々の日々の暮らしをテーマアップし、読者の共感を得たいと考えました」
同シリーズを始めたきっかけについて、同社の朝田修平広告宣伝部長はこう説明する。毎年、成人式やこどもの日など、家族にとって重要な行事に焦点を合わせて掲載。受賞対象となった昨年の7作品も、元日や七夕、七五三などに合わせたが、家の写真は一切、登場しない。
例えば、引っ越しや転勤のシーズンである3月の掲載分は、犬が部屋で気持ちよく寝ている写真をメインに「はじめて 一人暮らしをする 春に 家族と わが家の 奇跡に気づく」といった長文のコピーが。そして、最後は必ず「家に帰れば、積水ハウス。」。
「小説に近いアプローチで居住者の幸せぶりが間接的に伝われば」(朝田部長)との思いが、多くの人々の共感を得た。
「ごらんになった方々から、家族のことや、自宅で飼っていたペットのことを思い出したといったお手紙をいただきました。新聞広告ならではの熱い反応に驚きました」と喜ぶ。シリーズはこれからも続けたいと力を込めた。