【ロンドン=板東和正、ワシントン=黒瀬悦成】世界保健機関(WHO、本部・ジュネーブ)総会は19日、WHOの新型コロナウイルスへの対応や新型コロナの起源について独立した検証作業を実施することを求める決議案を採択し、2日間の日程を終える。
決議案は欧州連合(EU)の主導で、日本などが共同提案した。中国外務省は19日、中国も共同提案国に加わったと表明した。WHOも検証作業に前向きな姿勢を見せている。
検証作業が実施された場合、判明した課題をもとに加盟国から改革を要求されるとみられるが、具体的なスケジュールは決まっていない。トランプ米大統領は18日、WHOのテドロス事務局長に対して書簡を送り、「WHOが向こう30日以内に具体的な改革を果たさない限り、拠出金の一時停止を恒久的に続ける」と警告したことをツイッターで発表した。
米国はWHOに対する最大の拠出国で、年間4億ドル(約430億円)から5億ドルを負担している。トランプ氏は今年4月、WHOを「中国寄りだ」として資金の拠出停止を発表。WHOが中国の「ディスインフォメーション(偽情報)」を広めたせいで無用に感染を拡大させ、多くの人々が死亡したと批判していた。新型コロナの感染が拡大した欧州諸国などでもWHOや中国に対する不満が高まっており、フランスのマクロン大統領もWHOの改革が必要との認識でトランプ氏と一致した。
WHO総会は毎年、WHO本部があるスイス・ジュネーブに各国代表団が集結して開催されるが、今回は初めてテレビ電話会議方式で実施。新型コロナ対応で日程が19日までの2日間に短縮されており、年内に再開して台湾の参加問題など残る議題の協議を実施するとみられている。