【ロンドン=板東和正】WHOの新型コロナウイルス対応をめぐり、中国は欧州連合(EU)や日本などによる決議案の共同提案国に加わった。WHOの運営や感染源の検証を求める国際世論にあらがえなかったとの見方がある。
米国は、中国がウイルス確認当初、情報を隠蔽(いんぺい)して感染を世界に拡大させたと主張してきた。WHOが1月下旬の緊急委員会で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を見送ったことも中国の圧力が原因とみられている。医療機関の検査態勢整備を促す宣言の遅れが感染拡大を招いたとされ、検証ではこうした初動対応が焦点になる可能性がある。
中国にとって不利な決議案だが、中国への批判がすでに高まる中、米ジョンズ・ホプキンズ大のホー・ファング・ハング教授は英メディアに「中国は国際的なイメージをさらに損なうリスクなしに(共同提案国になることを)抵抗するのは難しいだろう」と話した。
18日、各国が立場を表明した第1日目の総会では、WHOの改革を求める声が相次いでいた。アザー米厚生長官は「少なくとも1つのWHO加盟国が新型コロナ発生の隠蔽を試みたことは明白で、透明性という義務をあざ笑った」と名指しを避けつつも、初動対応の誤りを隠蔽したとされる中国を批判。中国を強く追及しなかったWHOの姿勢も問題視し、改革を求めた。
検証では、将来のパンデミック(世界的大流行)を防ぐため、今回の総会に参加できなかった台湾の知見を生かせるかも焦点だ。
スイス・ジュネーブの外交関係者は「昨年12月に新型コロナの人・人感染の恐れを警告していた台湾を総会に参加させ、WHO検証に加えることができれば、中国に配慮して対応が遅れたWHOの体質を変える好機になる」と指摘した。