ラーメン専門のフード・コンサルティング会社「清流企画」の社長、芹沢達美(鈴木京香)と、そこに入社したばかりの汐見ゆとり(黒島結菜)を軸に、華やかだが過酷なラーメン業界で苦境にあえぐラーメン店を救う物語で、ラーメンオタクの社員、須田正史を演じる。
「この話ならめっちゃラーメンが食べられる。ついにやりたい役が来たな、と」と出演オファーを振り返る。そう、自身も正真正銘のラーメンオタクだ。ただ「須田はラーメン職人をリスペクトしていて、おいしいものを作る人に愛を持っている。僕はさすがにそこまでいっていなかった」と苦笑。とはいえ、「自分は映画が好きで、監督は誰なんだろうと思うし、好きな監督なら見に行く。自分に置き換えると(職人へのリスペクトも)分かりやすかった」と語る。
「約2カ月半の撮影中は、劇中でもラーメンを食べ、それに刺激されて撮影後も食べちゃって。役でもあるし、罪悪感も薄れるというか」と述懐。共演者やスタッフとの間でもラーメンの話ばかり。タガが外れた部分もあったのか、「太ってもいいやと思って。1話から最終話の頃までに、実は3キロぐらい太って、途中から衣装がキツくなった」と笑う。
「清流企画」のメンバーは「世代はバラバラでしたが、とてもいい雰囲気」だったという。当初は自身と白坂隼人役の小関裕太がムードメーカーになれればいいと考えていたが、「(河上堅吾役の杉本)哲太さんがムードメーカーでした。哲太さんの愛嬌(あいきょう)にやられました」と明かす。河上部長のせりふは専門的なものも多く、「哲太さんが苦戦されていることもあったのですが、面白くやられていたので刺激にもなりました」と話す。
鈴木とはラーメンの食べ歩きシーンで共演。劇中では、芹沢社長の食べっぷりについていけない須田の姿も描かれた。「京香さんは横浜家系ラーメンに感動してましたが、そこに感動する京香さんに感動しちゃいました」
自身の家族もラーメン好きで、最近はテークアウトで近所のラーメンを楽しんでいるという。「そんなラーメンの一杯が目の前に出てくるまでの苦労なども知ってもらえれば、ドラマも楽しめると思います。純粋に変わり種のラーメンも出てくるのでおなかも減ると思いますよ」とラーメンオタクらしい言葉で締めくくってくれた。 (文化部 兼松康)
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まえの・ともや 昭和61年生まれ。岡山県出身。大学在学中の平成17年に石井裕也監督の映画「剥(む)き出しにっぽん」で俳優デビュー。20年の映画「ショッキングピンク」、21年の映画「脚の生えたおたまじゃくし」では主演と同時に監督も務めた。その他、NHK連続テレビ小説「わろてんか」などのドラマや舞台など出演作多数。CMでは「KDDI au」の一寸法師役などでもおなじみ。