新型コロナウイルス感染拡大防止のため、産経新聞社は21日の「桂宮治独演会 半蔵門・春夏秋冬 青い皐月」を中止し、同日にライブ配信サービス「ニコニコ生放送」で「超落語第2弾~桂宮治独演会~Produced by S亭」を行った(7月31日までタイムシフト視聴可能)。国内の劇場では開演中の感染防止策を模索しているが、フェイスシールドにマスク姿で撮影に立ち会い、“新しい日常”の鑑賞スタイルを体験してみた。
緊急事態宣言が関西3府県で解除された21日、ニコニコ生放送を行うドワンゴ(東京都中央区)の本社ビルで実施された撮影。感染拡大を防止するために、透明なプラスチック製の板で顔を覆うフェイスシールド(タイヘイ社製)を用意した。長さが約30センチもあり、頭からかぶるとアゴのあたりまですっぽりと顔が覆われた。目の前はすっきり、落語の舞台もよく見えそうだ。
密閉、密集、密接の「3密」に配慮し、最低限のスタッフで行われた生放送。ニコニコ動画を運営するドワンゴ本社のオフィスは、リモートワークのため人の気配がほとんどない。その中央に、3色の引幕がかかった座敷が用意されていた。出演者やスタッフで短い打ち合わせがあった後、無観客の生放送が始まった。
和服姿で現れた桂宮治さん。時事ネタを取り入れたまくらで和ませてから本題「宿屋の仇討」に。初めは天井の明かりが少し気になったが、次第に宮治さんの話力に引き込まれ、オチを聞くころにはフェイスシールドやマスクを着けていることをすっかり忘れてしまった。
「狸賽(たぬさい)」で前座を務めた春風亭かけ橋さんのちょっと一服を挟み、再び宮治さんが「代書屋」を熱演。笑ったときの息で目の前のプラスチック板が曇るほどの楽しさで、あっという間の1時間40分だった。
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、劇場内で座席間を1~2メートルあけることなどが求められている。ポスト・コロナ時代には、マスクだけでなく、フェイスシールド着用での鑑賞が“日常”になるかもしれないと予感した。
この生放送はニコニコ動画で7月31日まで、終演後でも見られるタイムシフト視聴(1500ニコニコポイント=1500円)できる。(事業本部 池田証志)