香港への国家安全法 日本政府「深く憂慮」も抗議せず





記者会見する菅官房長官=28日午後、首相官邸

 香港に国家安全法を導入する全人代の「決定」に関し、菅義偉官房長官は28日の記者会見で「深く憂慮する」との見解を示した。外務省の秋葉剛男事務次官は中国の孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日大使を同省に呼び、日本政府の立場を伝えたが、欧米諸国のような強い非難は控えた。一方、与野党からは一斉に抗議・非難の声が上がった。

 菅氏は香港に関し「『一国二制度』の下、従来の自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくことが重要だ」と述べたが、「抗議」や「非難」はしなかった。孔氏は秋葉氏に対し「中国の国家安全にかかわる事項だ」などと主張した。

 習近平国家主席の国賓訪日の予定が立たない中、最近の安倍晋三政権は新型コロナウイルスなどでも中国への批判を避けている。対照的なのが政党の動きだ。

 自民党の外交部会は29日に「まるで力でねじ伏せ、押さえ込むような対応」「重大で深刻な憂慮」を表明する非難決議をまとめる予定。自民党の長島昭久、無所属の山尾志桜里両衆院議員ら与野党の有志約80人は、香港の自由や自治の状況を監視する英団体が世界の議会人らに呼びかけた「深刻な懸念」を表明する共同声明に署名した。

 立憲民主党の枝野幸男代表はツイッターに「強い懸念を抱いている」と投稿。国民民主党の玉木雄一郎代表は談話で「基本的人権が制限される恐れがある」と指摘した。共産党の志位和夫委員長は「強く抗議する」、日本維新の会も「強い懸念と憂慮」を表明する声明をそれぞれ発表した。



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