【追及京アニ事件】(下)被害者支援に地域差 条例制定わずか

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【追及京アニ事件】(下)被害者支援に地域差 条例制定わずか


 「市として被害者救済のため何かをしなければならないと思った」。今年4月に犯罪被害者等支援条例を制定した静岡県菊川市の担当者はこう話す。

 同市は京都アニメーション放火殺人事件で犠牲となった大村勇貴さん=当時(23)=の出身地。事件発生翌月の8月に市長が条例制定の意向を示し、条例が施行されたのはその約8カ月後という迅速さだった。「被害者や家族が少しでも安心できるよう支援したい」(同市担当者)との思いが後押しになった。

 死者36人、重軽傷者33人という甚大な被害の出た今回の事件。被害者支援は大きなテーマだ。発生直後から遺族や被害者を支えてきた京都犯罪被害者支援センター事務局長の冨名腰由美子さんは「自治体ごとの被害者支援や国が一律に支援できるような仕組みが、充実していればいいのですが…」という。

 平成16年に制定された犯罪被害者等基本法で被害者支援は地方自治体の「責務」と規定された。だが、それに特化した条例の制定は遅々として進まない。

 警察庁によると、犯罪被害者支援に特化した条例を制定している自治体は、31年4月の時点で17道府県、6政令指定都市、272市区町村。全体の16%にとどまっている。冨名腰さんは「自治体自身がニーズを感じないと、条例化は進まない」と話す。

 経済的支援の枠組みも偏りがある。

 公的なものとしては、被害者の収入や子供の人数などで金額が決まる国の給付金制度がある。警察庁によると、30年度の遺族に対する給付金は被害者1人当たり平均614万円。けがなどをした被害者は同27万4千円の水準だった。

 犯罪被害者を支援する条例には見舞金などの制度が盛り込まれたりしているが、未整備の自治体は多い。今回の事件で遺族は京都府だけでなく全国にいるが、居住自治体に条例がないため、金銭補償などの支援を受けられない人もいたという。

 京アニに対する国内外からの義援金が33億円を超えたことも話題になったが、義援金を犯罪被害者に配分する例は過去になかった。政府は被害者らが受け取る義援金が非課税扱いとなるよう特例的な措置を取り、京都府は適正に分配するため有識者らによる配分委員会を設置した。

 犯罪被害者の遺族らでつくる「犯罪被害者の会(つなぐ会)」理事の林良平さん(66)は「被害者にとっては義援金だけではなく、社会として支援をする態勢があるのかどうかが大事。条例制定はその第一歩だ」と指摘。「事件や自治体の違いで被害者の支援に格差が生まれるのはおかしい」と訴える。

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