産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査で安倍晋三内閣の支持率が急落したのは、黒川弘務前東京高検検事長が賭けマージャンで辞職した問題が主な原因とみられる。新型コロナウイルス対策で徐々に上がってきた評価は、スキャンダルで相殺された形だ。
新型コロナ対策を「評価する」と答えた人は43.6%だった。前々回の調査では28.7%に落ち込んだが、前回の36.4%に続いて着実に評価を戻しつつある。自民党支持層では67.4%、公明党支持層では50.3%が対策を評価。無党派層でも33.6%が「評価する」と答えた。
しかし、無党派層の内閣支持率は19.9%と低迷した。その理由の1つと考えられるのが、黒川氏が産経新聞記者らと賭けマージャンをしたとの週刊文春報道に端を発した問題だ。無党派層のうち、黒川氏への訓告処分を「納得できる」と回答した人は10.2%にとどまっている。
年齢別にみると、前回調査と比べて内閣支持率が10ポイント以上減ったのは、男性が40代と60代以上、女性は30代と60代以上だった。このうち、40代男性と60代以上の女性に関しては、コロナ対策を評価する人がそれぞれ14.1ポイント、3.4ポイント増えている。ただ、黒川氏の処分に「納得できない」との回答は男性40代が73.3%、女性60代以上は84.3%に上っており、黒川氏の問題が影を落としているようだ。
逆に内閣支持率が増加したのは10・20代で、前回比8.9ポイント増の52.6%。コロナ対策の評価は女性が29.5ポイント増の61.3%、男性は51.4%で横ばいだった。10・20代男性は安倍内閣の景気・経済対策で前回比19.7ポイント増の63.8%が「評価する」と回答、現金10万円の一律給付などを好感したとみられる。
(杉本康士)