黒人の鬱屈、コロナ禍の経済苦境で爆発 全米抗議デモ1週間

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1日、米ワシントンのホワイトハウス近くで行われた黒人男性暴行死事件の抗議デモで、催涙ガスの中を進む警官(UPI=共同)

1日、米ワシントンのホワイトハウス近くで行われた黒人男性暴行死事件の抗議デモで、催涙ガスの中を進む警官(UPI=共同)

 【ワシントン=黒瀬悦成、ニューヨーク=上塚真由】米中西部ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が黒人男性に暴力を振るって死亡させた事件を受けて全米に広がった抗議デモと暴動は、1日で1週間となったが、収拾のめどは立っていない。新型コロナウイルスの感染拡大などにより4千万人が失業する経済的苦境の中で、黒人の間で長年鬱屈していた人種や格差をめぐる不満や恨みが爆発したといえる。

 デモは5月26日に参加者が一部で暴徒化した。トランプ米大統領は1日、ホワイトハウスで声明を発表し、暴動が深刻化している州の知事や大都市の市長に州兵部隊を投入して暴徒に厳然とした対応をとるよう要請した。また、州や市が強力に対応する意思がないのであれば米軍部隊を現地に派遣し、「問題を迅速に解決する」と表明した。

 トランプ氏は「私の職務は米国民の生命を守ることだ」と述べ、黒人男性を死亡させた警官らを「法の裁きにかける」と改めて強調した。平和的な抗議デモについては支持する立場を打ち出した。

 一方、白人警官の暴行で死亡したジョージ・フロイドさん(46)の弟のテレンスさんは1日、事件の現場を訪れ、兄に哀悼の意を示した。テレンスさんは集まった群衆に、暴徒化したデモ参加者が店舗の破壊や略奪を繰り返していることに関し「みんな何をやっているんだ。そんなことをしても兄貴は戻ってこない」と訴え、デモを平和的に行うよう呼び掛けた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、抗議デモと暴動は1日、全米の少なくとも140都市に拡大した。また、これまでにデモの現場付近にいた5人が死亡し、約4400人が逮捕されたという。

 東部ニューヨーク市は1日、他の大都市に追随して午後11時から翌午前5時までの夜間外出禁止令を発令した。5月31日夜から6月1日朝にかけて暴動が激化し、400人以上の暴徒が逮捕されたのを受けた措置。破壊や略奪は1日も市内各地で続発し、デブラシオ市長は2日も午後8時から夜間外出を禁止すると明らかにした。

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