楽天が第5世代(5G)移動通信システムの通信ネットワークの検証や試験を手がける拠点を国内に設置したことが2日、分かった。インドで実施していた検証作業が、新型コロナウイルス感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)で停滞したため。6月末までに検証に必要な環境を国内に整備して、9月に予定する5Gを使った携帯電話サービスの開始にこぎ着けたい考えだ。
楽天は当初、5Gサービスを6月に予定したが、3カ月間延期した。監督官庁である総務省には、通信網の検証プロセスを日本の拠点で代替し、挽回する方針を伝えた。
国内拠点には既に通信網の評価の一部ができる環境を構築したが、「月内に検証に必要な環境をフルにそろえ、検証作業を本格化する」(担当者)。インドの協力企業もリモートで検証作業に参加できるようになるという。
楽天は携帯の通信網にクラウドを使った「仮想化」と呼ぶ技術を世界で初めて全面採用している。通信用のソフトウエアが正常に動くかの確認をインドの開発拠点で手がけていたが、都市封鎖で拠点に入れずに検証が遅れ、サービス自体も遅延することになった。
楽天は昨年4月に総務省から5G電波の割り当てを受ける際に、サービス開始時期や基地局整備などの事業計画を提出した。割り当ての前提となる計画に遅れが生じているが、総務省幹部は「楽天の過失ではなく、不可抗力なので行政指導は出さない」という。