アメリカで人種差別を契機とした大暴動が発生しましたが、その背景には新型コロナで失業・困窮した貧困層の怒りがあるとされています。まさに本書では、感染収束後から真の激動が始まるとし、経済から国際秩序、社会構造の変化まで、旧来の何が終わり、何が始まるのかを、最新データや統計を交えつつ論じています。
WHO(世界保健機関)同様、中国による支配が進む国連機関の実態を暴くと同時に、中国を排除した新たな国際機関創設の動きを解説。実際、本書刊行後にトランプ大統領はWHO脱退を表明しました。今後、米中対立が激化するなか、日本のカジノを含む統合型リゾート施設(IR)に絡む汚職摘発がこの米中角逐に関連していること、さまざまな問題が両国衝突に伴い噴出してくること、中国を除いた形でのグローバルサプライチェーンの組み換えや、産業政策が求められることなど、政治や外交の裏話を交えながら述べています。
加えて、急変する世界経済の動向を予測しつつ、中国が20~30年後に分裂へと向かうシナリオや、日本がポスト・コロナ時代の国際社会でトップリーダーとなる可能性、そのための政策を示します。
さらには、「新たな日常」のなかで、われわれの働き方や考え方がどのように変わるかについても言及。ちなみに本書の対談もステイホームのままZoomで行いました。
政・財・官界の実態を知り尽くす2人の鋭い分析は刊行後、次々と的中しています。(高橋洋一、渡邉哲也著/徳間書店・1500円+税)
徳間書店学芸編集部 明石直彦