モビリティー(移動体)ベンチャーのWHILL(ウィル、横浜市鶴見区)は8日までに、独自開発の自動運転機能付き電動車いすを羽田空港第1ターミナルビル(東京都大田区)に3台納入した。空港内の人搬送用途での自動運転機能付き電動車いすの実用化はこれが初めて。
羽田空港第1ターミナルビルの制限エリア内にある保安検査場から搭乗口までの約250~400メートルの距離を、電動車いすに人を載せて走行する。搭乗口まで送り届けた後は無人運転で保安検査場まで戻ってくる。
地図情報を電動車いすに記憶させるとともに、複数のセンサーで人や障害物との距離を継続的に測定し、衝突を未然に回避する。空港内では空港職員が車いすを押すことが多いが、この電動車いすを使えば、新型コロナウイルスなど感染症の感染リスクを減らせる。
WHILLの杉江理社長は「リモートワーク(遠隔勤務)の普及で通勤など日常の移動の機会は減るが、旅行などのポジティブな移動のニーズは増える。最寄りの駅から観光地までといったラストワンマイルの移動を補うニーズも大きくなる」と、自動運転機能が付いた電動車いすの需要が今後増える見通しを強調した。